にょろにょろ機械、ばらばら機械、ぴちゃぴちゃ機械
Nyoronyoro machine, Barabara machine, Pichapicha machine
2020






 資本主義の誕生以降、かつては即興的で流動的、不安定な要素を内包していた「機械」という存在は、孤立し、安定した、図面通りの存在へと変化してゆきました。ユーザーが触れられないよう、回路は固く閉ざされ、硬い外殻をもち、また大量生産の過程から、均質で触覚のないツルツルとした素材がその形に用いられました。 機械に期待された”安定性”、”恒久性”、”囲い込み”などのパラノ性が、その機械を形作る人間を(家父長制、資本主義下で生きる人間の欲望を)映し出していると考えた作者は、機械の形と回路におけるオルタナティブを探すことで、両者に風穴を開けることを試みます。

にょろにょろ機械、ばらばら機械、ぴちゃぴちゃ機械は、水分を多く含んだ有機物を回路の内部に用いることで、腐食や酸化の過程を、機械の内部に取り込んでいます。これによって、安定した / 恒久的な回路を完成させるという行為の権威性、自閉性に問題提起をすると同時に、時間的や環境的な変化のなかに機械を置きます。加えて作者は、近代機械に見られる、閉鎖的な空間/ツルツルの表面といったフォームと対照的に、開放性/テクスチャといった不安定な要素を採用しました。部分同士の開放性はそれぞれの機械に、外部との予想外かつ一時的な接続をもたらし、このインスタレーションの中では機械が現れたり消えたりを繰り返します。

湿度、水は時間の経過とともに美術館に染み込み、じきに美術館やそれを取り巻く制度をも機械の一部となるかもしれません。機械の内部(回路)/外部(造形)の両面から、近代機械に見られる男根的崇高(恒久性、自閉性、均質性)を脱臼することで、機械という存在の形態におけるフェミニズム批評を試みています。





Materials: Mixed media
Form: Installation
Size: Variable

photo by Naoki Takehisa